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サングラス姿は台湾で絶滅!?ご利益?起源?意外と知らない電音三太子のアレコレ

こんにちは。
ご無沙汰してます。
先日台湾関連のイベントで『電音三太子』をする機会があったので、電音三太子についての知識と共に、三太子を演じる事になった人の為に注意点などを書いていこうと思います。

「電音三太子」?

日本語だと「電音三太子(でん おん さん たい し)」と発音しますが、
台湾華語だと「電音三太子(ディエン イン サン タイ ズ)」と発音します
「電音」は日本語に訳すとテクノポップ。
要するに「テクノポップ三太子」という事です。
ちなみに可愛い顔して15㎏もあるので、基本的に中は男性が入ってます。

「三太子」は台湾の廟で祀られている伝統的な神様で、
明朝時代末期(1600年頃)に中国から渡ってきました。
大陸から移住した人達は多くの困難を乗り越えて台湾に来ましたが、
その後も慣れない風土の中、疫病や天災に悩まされ、
独自の信仰や地域の伝説に頼って問題を解決しないといけませんでした。
その中で「西遊記」や「封神演義」の神話、
「三太子」の元祖となる「哪吒伝説」も広がっていきます。

哪吒(ナタ)伝説

「哪吒(ナタ)」は、七福神として知られている毘沙門天の三男といわれています。
神話の中では幼少期に東海龍王の息子を誤って殺してしまい、龍王を怒らせてしまった哪吒が、両親を巻き込まないため自ら命を絶って謝罪。
罪を赦された哪吒は大師の助けで生身の神として生まれ変わり、天軍を率いることとなったのです。
神話によって内容が異なりますが哪吒は3兄弟の三男(末っ子)と言われていて、

長男『金吒』
次男『木吒』
三男『哪吒』

これを合わせた名称が【(哪吒)三太子】と呼ばれています。
※金吒・木吒は哪吒の分身体という神話もあります。

ご利益は?

「三太子」のご利益は大きく3つの分野があります。
・多くの軍の兵を率いたことから「里の守り神」。
・遊び心にあふれた性格から「子供の守り神」。
・足元にタイヤのような物があることから「レーサーやタイヤ(車・バイク)の守り神」。

このような神の力から、台湾で「哪吒」信仰は人気になり、瞬く間に広がっていきました。
そのため、台湾のほとんどの廟に現在も祀られているのです。

どうして神様を踊らせちゃったの?

映像元:youtube

そんな伝統的な三太子が、いつ、どうして、パリピな踊りをするようになったのでしょうか。

台湾では人が神様になりきって練り歩く伝統的な行事(パレード)「陣頭(じんとう)」があります。

元々三太子もこの陣頭に登場し、練り歩く事で人々に安心感を与えてきました。
他の神様と同様、伝統音楽(チャルメラみたいな音)と共に練り歩いた三太子でしたが、
あまりにもシンプルな動きで特徴がなく、若者離れの危機にさらされます。
そこで伝統を大事にしてきた人たちは、何とか若者の興味を引かせようと考え、
やんちゃな子どもの守護神 三太子ならパリピをしても怒られないんじゃないか
という事で今の「可愛い」と言われている電音三太子が誕生したといわれています。

余談ですが、三太子の手袋は無許可のミッ〇ーの手袋なんですよ。

電音三太子はいつ生まれたの?

出典:youtube

「電音三太子」誕生には様々な起源説がありますが、最有力説は2つあります
①台湾中部・雲林の北港で童謡を「三太子」のBGMにした説。
②台湾南部・嘉義の朴子で、ダンス好きの学生が三太子を着て踊った説。

こうして誕生した電音三太子は2006年、
台湾北西部に住む客家人のイベント「台客搖滾嘉年華(客家ロックカーニバル)」にて
国民的人気歌手、伍佰(ウーバイ)から正式に『電音三太子』と命名され
台湾全土で注目を集めます。

2009年
高雄で行われた「第8回 ワールドゲームズ」の開幕式では
電音三太子が伝統音楽に合わせ陣頭と共にド派手に登場し、
世界から脚光を浴びるきっかけになりました。


world games(2009)
開幕式

「電音三太子」は伝統文化、現代音楽、ダンスを融合させた
まさに台湾特有の多様性から生まれたものなのです。

「三太子」を演じるにあたっての注意点

ここからは白羽の矢が立って三太子を演じる事になってしまった方に
演じるにあたってのアドバイスを書いていきたいと思います。
(ちなみに私は大好きなので「やりたい!」と自分から立候補しました)

1.脱水症状に気を付けて

三太子は構造上、目の隙間・鼻の穴・口以外全て覆われています
その為に汗がなかなか蒸発してくれず、
そんな中で激しく踊るので、冬でもサウナ状態になって汗だくになります。
そして汗が目に入っても拭く事が出来ません。
汗を吸ってくれるように帽子をかぶったり
バンダナや手ぬぐいを頭に巻いておく事をオススメします。
そして腰にペットボトルなどをぶら下げて、万が一に備えて水分を摂れるようにしておきましょう。
においですが、竹で編んだ骨組みに服を着せているだけなので、収納時の通気性がよく、それほど臭いません。

2.肩にクッションを付けよう

三太子は肩で支えて動きます。
三太子は15㎏前後あるので、
支えている肩がかなり痛くなり、下手するとアザになる事も。
自身を守るためにも事前に内部の肩が当たる部分を確認し、
何もなかった場合はクッション性のある物を装着してください。

3.ふざけずに信仰心をもって演じよう

日本人からすると三太子は面白おかしい姿かもしれませんが、
台湾の方たちにとって大事な神様です。
ぞんざいに扱わず、練習や本番の前後には手を合わせて拝みましょう。
本番もふざけずに自分は神様の使いだという意識で演じましょう。

演じるって
どんな感じ?

1.視界ほぼゼロ・手の可動域も狭い

中に入ると分かりますが、視界は口の部分しかありません。
つまり目の位置が三太子の口です。
三太子の骨組みはサイヤ人の戦闘服のように肩までがっちりカバーされてるので
普段の動きをしても手をお腹の方でちまちま動かしてるようにしか見えません。
手を振るの時は自分の目の高さまで手を持ち上げましょう。
手の可動域はほとんどないので、事前に可動域の狭さを確認しておきましょう。
ダンスの時には弾んだ反動を利用しながらジャンプ、回転をし、
足の動きを大きくする事で手の動きをカバーします。

映像元:youtube

2.顔の方向が分からない

口の部分に目があると言ってもクッションなどを入れると、
どうしても視界が上に来てしまいます。
通常の頭の方向は…

こうなのですが、視界が目よりも高い位置にあるので、正面を見ようとすると…

このように下向きになってしまいます。
一緒に写真を撮ると下に向きがちなのはこういう理由からです。
これ程までに視界が悪い中であんな激しい踊りを踊っているんです。
見かけたら優しく労ってあげてくださいね。

3.基本ステップが1番大事

映像元:youtube

こちらの動きを見ても分かると思いますが、軸を動かさず、
リズムに合わせて常に弾む事で大きく足を動かす事ができます。
そして三太子の中で必ずある基本ステップがこちら

映像元:youtube

右足を斜め前に2回出した後にボックスステップを踏む。
その基本ステップを四方に向けて行います。
このステップはリズムに合わせて弾む事でようやく出来る動きです。
四方に向けて行う理由は全ての観客に見てもらう為ではなく
どの方向に神様がいても奉納できるようにという理由からです。

ここまで激しく踊れるのは三太子の為に日々鍛錬を積んでいるプロ集団だからです。
日本には三太子の為に日々鍛錬を積んでいるようなプロ集団はいません。
その為、本場と比べてもゆっくり踊るのがほとんどです。
ですが!どのようなダンスでも疲労はマジで半端ないです。
私は終わった後、肩こりと腰痛がヤバくてしばらく鍼灸院通いになりました💦
この子達、可愛い顔して15㎏もあるのでね…

電音三太子のマメ知識

電音三太子ブームから
台湾版『竹の子族』が誕生!?

台湾で電音三太子が流行ると、若者が日本の竹の子族のように様々な場所で真似始め、
いかに格好よく踊れるかを競い合いました。
(1980年前半生まれの台湾人がリアタイ世代です。)


ブーム当時
『台客舞』を踊る若者

こちらは台湾では『台客舞(タイカーウー)』と呼ばれています。
先ほど紹介した基本ステップに自己流でダンスを追加して
自分だけのダンスを作るというものでした。
電音三太子と大きく違うのは弾みが少ない事です。

パリピ三太子
実は台湾で既に絶滅!?

電音三太子はサングラスのパリピ姿で電飾を付けてさらに脚光を浴びます。
台湾では何度も激しく踊るので損傷や破損などがあり、その都度専門の業者に依頼して新調・改修してきました。
その中で三太子の姿も徐々に戻っていき、今ではパリピ三太子を見る事はありません。
台客舞ブームの終焉と共に三太子の姿も元に戻ったという事です。
日本には台客舞ブーム時代に台湾から贈られたパリピ三太子が今も現存しています。
日本には製造業者がないので、大事に大事に保存され、今もパリピ三太子を拝む事が出来るのです。
パリピ三太子を見かけたら博物館レベルの希少な三太子だと思ってください(笑)

まとめ

いかがでしたか?
三太子を演じるなんて機会は滅多にありませんが
実際ここに日本人でもやった奴がいるので、
身近に演じる事になった人がいたらぜひこちらを参考にしてください。

何度も言いますが、中の人は本当に大変です。
見かけたらどうか労ってあげてください。
最後までお読みいただきありがとうございました!

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