こんにちは。
某大手楽所所属の先生の元、龍笛を習い始めて8年を迎え、ボチボチと無理せず練習しています。
そんな私に舞い込んでくるのは「雅楽教室ってどこにあるんですか?」という質問。
私は偶然にも某大手楽所所属の先生を見つけ師事しているのですが、他を探しても確かにあまり見かけません。
セミナーでやってるところもありますが、正直あれは趣味程度の自己満足で終わりかなぁという感じです。
そこで今回はどうして雅楽教室が少ないのか、本格的に学べる先生の見分け方、各楽器について話していこうかと思います。
雅楽教室が少ない理由
本来は貴族がたしなむ楽器だから
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まあ…ぶっちゃけ楽器にかかる費用が高いんですよね。
練習用なら安く買えますが、先生やプロの方は『本管』と呼ばれる竹でできた高級な楽器を使っています。
丁寧に扱っていると100年以上持つと言われているので、親世代から受け継いで使っている方もおられます。
さらに雅楽にも歌舞伎のような家柄があって、その家柄こそが正統派であるという考えがあります。
雅楽の奏法が崩れていくという理由から家柄出身でないと人に教えてはいけないという暗黙の了解もあります。
どこかで天理教が関わる
雅楽というと寺や神社で演奏されているイメージが強いかと思いますが、実は雅楽は『天理教』の存在が大きいのです。
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天理教って?
たまに駅前や公園で法被を着た人がカチカチ鳴らしながら何か言ってませんか?
あの人たちは『天理教』の信者です。
天理教は江戸時代末期に一人の教祖から誕生した新興宗教で、明治維新に伴う宗教弾圧の際に『神道』の傘下だと表明したことで弾圧を逃れました。
大正~昭和初期が信者数のピークと言われていて、30年ほど前(平成初期)までは信者も多く、特に関西圏の方は夏休みに【おぢばがえり】に行った方もいるのではないでしょうか?
【おぢばがえり】は信者ではない人も参加できる天理教の立派な行事です。
私が小学生の頃にも「【おぢばがえり】に行く」と話していた友達がいました。
それほどまでに布教が進んでいたのでしょう。
昔は奉仕が中心でしたが、内部分裂が始まり、一部では金儲け主義が出てきているようです。
平成の間に信者数も4分の1にまで減り、現在は高齢信者と2世3世で成り立っているような状況です。
『神道』の傘下に入った事から神社や宮内庁にも関わるようになり、
【宮内庁のみが継承している雅楽を保存する】という目的で雅楽普及に積極的になっていきます。
現在も夏になると教会で『雅楽講習会』を開催し、雅楽の普及に貢献しています。
ここまで深く宗教が関わると(勧誘されるのでは?)(天理教の人たちでトラブルになりそう)と考えてしまって、躊躇する人もいるようです。
譜面が不親切すぎる
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一番の理由はこれではないでしょうか。
洋楽の譜面は「フォルテ」や「スラー」など事細かに指示が書いていて『書いてある通り演奏すればOK』という感じです。
雅楽の譜面には【音程】【唱歌】【繰り返し】【高低】【拍子】程度しか書いてない割に、書かれていない細かな技法が必要になってくるのです。
この不親切は初心者泣かせで、私も最初のうちは先生の演奏をスマホで撮影して家で練習していました。
技術習得に時間がかかる
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雅楽の中でも龍笛は手入れが楽だからという理由から人気で教室数の多い楽器ですが、音を鳴らす段階で最低半年はかかると言われています。
厳しい先生だと初心者に笛を吹かせず、まず【唱歌】という「イロハ」で作られた歌をひたすら歌わせます。
もし笛が鳴ったとしても息遣いで拍子をとったり、指の複雑な動きが加わることで演奏はさらに難しくなります。
(フルートと息遣いが違うので、フルート経験があっても正式に吹く事は難しい。)
10年間本格的に稽古してようやく基礎を学んだといったところでしょうか。
私は8年…しかもボチボチという稽古なのでまだまだひよっこです😳
本格的に学べる先生を見極るコツ
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何も知らない人だとボロボロの演奏でも音さえ鳴っていれば奇麗に聞こえるのが雅楽の恐ろしい所。
雅楽未経験者が見学で先生の力量を見極めるのは(西洋楽器に精通している方でも)非常に困難なので、
まずは経歴で確認してください。
絶対アカン
音楽大学で雅楽サークルに所属
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洋楽中心の音大のサークル…という事は正式な技法を習っていない可能性が高いです。
その大学のサークルの経歴を確認するのもいいでしょう。
ただその人自身は経歴が4年しかないので、「雅楽で食っていくぞ!」という方には向きません。
アカン
幼少から雅楽に触れてました
天理大学に所属してました
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パッと見て(経歴が長い!)と思われるかもしれませんが、『雅楽+天理大学』という段階で天理教信者の2世3世だという事が分かります。
そして2世3世は先ほど紹介した天理教主催の『雅楽講習会』に小さい頃から参加しています。
私の知る信者3世のAさんも「小さい時から『雅楽講習会』でやらされてたけど中学生でやめちゃった」と話しています。
Aさんは大学生の頃にもう一度稽古を始めたようですが、技術は今でもボロボロ。
Aさんももし大学で雅楽サークルに入っていたら『小学生の頃に雅楽に触れ 大学の雅楽サークルにも所属』という経歴を書けちゃいますよね。
経歴の抜け穴です。
私は天理教の信者ではないものの、先生からの勧めで『雅楽講習会』に参加していますが、周囲にいる小学生は【やらされてる】感が滲み出ています💦
そしてあとは大人ばかりで中高生はほとんどいません。
基礎程度ならOK
○○会・○○楽所に所属
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どこかの団体に所属しているというパターンです。
ただこの「○○会」「○○楽所」という団体は誰でも立ち上げられるのです。
サークル仲間で立ち上げた場合もありますし、生徒が増えたから立ち上げたという場合もあります。
素人集団の団体もあれば、しっかりとした技術を持つ団体もあります。
その会や楽所について調べてみるのもいいでしょう。
本格的にしたいなら…
東京楽所・大阪楽所に所属
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『東京楽所』『大阪楽所』は一般にも雅楽が浸透し始めた頃に、家柄ではないからという理由だけで宮内庁に所属できない奏者の為に宮内庁の先生が立ち上げた団体です。
団員の平均技術も高く、入団基準も厳しいと言われています。
『東京楽所』『大阪楽所』という言葉が入ればまず信頼できるといってもいいでしょう。
ただ野球の2軍のようなものがあり、最初から現役で演奏会に参加できるという訳ではありません。
所属していると書いてある場合、演奏会の情報などにその人の名前があるかどうかも確認しておきましょう。
出会えたら超ラッキー
宮内庁○○先生に師事
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これは正統派で信頼できる先生といってもいいでしょう。
宮内庁の楽所は家柄でない限り入る事すら難しいと言われています。
そんな大先生に師事していたという事は正式な奏法をきちんと教わっています。
ちなみに私の先生も若い頃に御所まで行って、宮内庁の大先生に師事していたそうです。
演奏技術は本当にすごく、出会えてよかったと思っています。
楽器のメリット・デメリット
龍笛(りゅうてき)
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メリット
・『これぞ雅楽!』という格好良さがある
・見た感じ映える
・安く手に入って簡単に始められる
・教室が多い(友達を作りやすい)
・演奏の準備がいらない
・合奏で主役になれる
・風情がある
・平安装束を着て吹きたい
・女子率高め
デメリット
・うるさい(場所によれば防音室が必要)
・音がなかなか鳴らない(挫折しやすい)
・細かな奏法が多い
・奏者人口多く競争率が高い
篳篥(ひちりき)
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メリット
・安く手に入って簡単に始められる
・『これぞ雅楽!』という迫力と格好良さがある
・単体でもすごい存在感
・奏者人口が少なく競争率低め
・合奏で主役になれる
・平安装束を着て吹きたい
デメリット
・雅楽の中で一番うるさい(防音室必須)
・リードの下準備が面倒くさい
・音がなかなか鳴らない(挫折しやすい)
・教室が見つからない
・肺活量がかなりいる
・細かな息遣いが必要
・女子率低め
笙(しょう)
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メリット
・『これぞ雅楽!』という格好良さがある
・すぐに音が鳴る
・音色がロマンチック
・音が小さい(気軽に練習できる)
・奏者人口が少なく競争率低め
・風情がある
・平安装束を着て吹きたい
デメリット
・楽器が高額(練習用で10万円)
・温めないと吹けない(無理して吹くと傷む)
(電熱で約15分・専用ウォーマーで約40分)
・教室が見つからない
・演奏中は顔が隠れる
・単体で吹いてると飽きる
・合奏で主役になれない
・教室が見つからない
・メンテナンスに金かかる
琴(こと)
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メリット
・音色がロマンチック
・音が小さい
・奏者人口が少なく競争率低め
・風情がある
・縁側とかあったらそこで演奏したい
デメリット
・雅楽に早弾きはない
・デカイ(収納場所に困る)
・楽器が高額(約30万円)
・合奏で主役になれない
・教室が見つからない
・メンテナンスに金かかる
琵琶
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メリット
・音色がロマンチック
・音が小さい
・奏者人口が少なく競争率低め
・風情がある
・『平家物語』を弾いてみたい
・平安装束を着て弾いてみたい
デメリット
・実は雅楽に早弾きはない
・デカイ(収納場所に困る)
・楽器が高額(楽器単体で約80万円)
・弾くためのバチも高額
・合奏であまり主役になれない
・教室が見つからない
・メンテナンスに金かかる
まとめ
いかがでしたか?
ちなみに雅楽の世界では近年になってようやく女性奏者が認められるようになってきました。
しかし一部の神社や正統派の間では奏者は男だけという暗黙の了解があります。
(現在も宮内庁は女人禁制です)
そのあたりを変えていけば雅楽ももっと普及するのになと思う次第です。
最後までお読みいただきありがとうございました!